優しさと容赦なさと。北海道を駆け抜けた5泊6日の記憶

北海道を5泊6日で回ってきた。道東の釧路から、はるか北の利尻島へ。振り返ると、どこか不思議な旅だった。

天気ひとつで景色も気分も全部変わる。北海道の自然は優しい時もあるけれど、ときどき急に「人間の都合なんて知らない」という顔を見せる。

釧路に着いた日は、驚くほど穏やかだった。 もっと寒いと思っていたのに空は晴れていて、風も柔らかい。北海道というと厳しい自然ばかり想像していたから、拍子抜けするほど気持ちのいい空気だった。

摩周湖も奇跡みたいだった。 湖面は静かで、空の雲がそのまま映り込んでいた。摩周湖は霧で有名で、晴れた景色を見られるのは運次第とも言われる。だからこそ、あの透明感のある景色は忘れられない。

ただ、その後に向かった利尻島で、北海道の自然はまったく別の顔を見せる。 今思えば、かなり無謀だった。飛行機が飛ばない可能性なんて考えもしなかった。

「まあ大丈夫だろう」くらいの感覚で乗ってしまったけれど、島へ近づくにつれて空気が変わっていく。風は強く、空は重たい曇り空。無事に着けるだろうかという一抹の不安がよぎる。

そして、ときどき雲の切れ間から突然、利尻富士が現れた。 あれは“美しい”だけではなかった。あまりにも大きい。

しかもまだ雪をまとっている。 海の上に巨大な山が立ち上がっているように見えて、正直少し怖かった。利尻山は標高1,721m、海からほぼ一気に立ち上がる独立峰だ。 「自然って、人間を簡単に拒絶するんだな」 そんな感覚を、久しぶりに思い出した。

もちろん、旅の途中で浸った温泉や、美味しい海の幸も素晴らしい思い出だ。 でも今回、一番印象に残ったのは、自然の“優しさ”ではなく、“巨大さ”だった気がする。

晴れた釧路や摩周湖の静けさ。そして、利尻島で感じた恐怖に近い感覚。 その両極端な表情に出会えたからこそ、この旅は強く記憶に残っている。

東京へ戻ってからも、ときどき思い出す。 灰色の空の向こうに、一瞬だけ現れた雪の利尻富士を。

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